名無し

何か書きたくなったとき用。

声優ユニット「Wake Up,Girls!」との出会い

程よく都会で程よく田舎。街中も歩きやすいし住みやすい。

長いこと仙台に居着いた中で僕自身実感しているし、また魅力にも感じている点だ。逆に言えば、特徴の無さ。どこがオススメと聞かればとりあえず秋保、はたまた松島。どこもスポットと言えばスポットだけど、今ひとつパンチに欠ける。要するに東京を限りなくコンパクトにして、その過程でエンタメ性がごっそり削ぎ落とされてしまった街、それが僕にとっての仙台だった(とても失礼なことを言っております…もちろん個人の感想です。)。

だからこそ「Wake Up,Girls!」という仙台舞台のアニメが制作される、と聞いた時は嬉しかった。見慣れた景色が背景となり、そこでキャラクターが動く。地元の人間でこれを喜ばない人はいないだろう。

当時都内で大学生をやっていた僕は、「七人のアイドル」を鑑賞すべく早速新宿の某映画館に向かった。しかしながらその感想はと言うと、「知ってる場所が映っていて楽しい」に留まった。正直なところ、物語としての内容にはあまり関心がなかった。アイドル物で無くとも、極端なことを言えばSF物だって、仙台の街さえ描かれていれば僕のモチベーションになりえた。

それはTVシリーズ1期も同様で、時より心動かされるシーンこそあれ、あくまで数多くあるタイトルの内の一つに過ぎなかった。そんな訳なので当時の自分にとっては「中の人」でしかなかった彼女たちに対しても、興味や関心が湧くことはなかった。

転機となったのはそれから1年後、前後編からなる劇場版「青春の影」「Beyond the Bottom」の二作品である。これは名作だった。あれよあれよで東京進出を決めたものの満足な結果が出せずにもがく姿。模索しつつもWUGらしさという答えを見つけ、新曲を提げてアイドルの祭典での優勝。短いながらよくまとまっていたし、特に空港で一人たたずむななみんの姿は今でも涙無しでは観られない。各編の主題歌である「少女交響曲」「Beyond the Bottom」も当時の自分にはぶっ刺さっていた。

勢いそのまま、初めてのライブイベントとなる「Wake Up, Girls!Festa.2015への参加を決めた。物販には目もくれず、無地のTシャツ、ただのキンブレという「無課金」装備で現地に赴いた。

感想は一言で言えば、消化不良。プレイガイド先行で当選したチケットだったので、当然座席は後方、かつ平坦だったこともありステージは愚かモニターすら良く見えなかった。あくまでこれは個人の事情。ライブを挟みつつも内容の主になったのは謎のバッティング大会。自分の座席からは何が行われているのかすらよく把握出来ず、素人目で見てもそんなに楽しいものには思えなかった。とは言え問題があったのはイベント内容の企画そのもので、彼女たちのライブパフォーマンスに不足があったということはもちろん無い(感想以前にその肝心のライブすらまともに見えなかったのがもの悲しいけども…。)。

ただ一つ、最後に吉岡茉祐さんの放った「まだ終わりたくない」という涙ながらの言葉が印象的だった。幕張メッセというという大きな舞台。知名度の大小はさておき、仮にもメジャーデビューをしているグループである。そんな彼女をして、あんな言葉が出ざるを得ないような状況だということが衝撃的だった。仮にそういう状況だったとして、普通は嘘でも「これからも応援よろしく」くらい言って締めるのではないか。観客がざわめくことくらい彼女にも分かっていたはずなのに。案の定閉演後の周囲の空気は戸惑いが主だった(気がする。)。

それでも言う必要があったのだろう。まさしく彼女の心の叫びなのだったと今にして思う。初参加のイベントにして早くも存続の危機を感じ、かつイベントそのものも正直不満足だったものの、声優ユニットとしての「Wake Up,Girls!」の強く意識したのはこれがきっかけだった。

以降、仙台在住ということで比較的イベント参加の敷居が低いことも手伝って、仙台空港でのライブを始めいくつか現場に行くようになり、すっかり彼女達に魅了されていった。

きっかけはアニメ作品だったが、今の自分が好きで応援しているものは声優ユニットとしてのWUGである。当たり前だけど、あくまでその二つは自分の中で別物として整理されている。

事情通でもないので彼女たちの今後がどうなるかなんて全く見当もつかないし、あれこれ考えるつもりもない。二次創作に関わる機会もないので、オタクと言ったところで、結局自分は一介の消費者に過ぎないのだと自覚はしている。それでも彼女たちを応援することは楽しいし、彼女たちが多方面で活躍すれば自分のことみたいに嬉しい。これからも細く長くWUGというコンテンツと付き合っていきたいと思う。